思い出したこと9

こう着状態が続いている。
自分がどうにかできればいいが、しんどい。
 
大学生の時のことをもう少し。
 
バイトで家庭教師をしていた。
マイナーな家庭教師紹介会社に載っていた「女子高生英語」。
 
時給は驚くほど安かった。
恐らく業界最低。
 
場所は結構遠かった。
30kmだった。
原チャリだった。
 
肝心の生徒は、かわいくもないし、かわいげもなかった。
 
それから真面目に行った。
冬の日も、雨の日も・・・。
 
その娘は驚くほど記憶力がよく、教科書1ページ覚えるのなんてなんの苦もなかった。
でも文法や構文を理解するのを驚くほど苦手としていた、というより全然だめだった。
これは苦労した。
 
ある日、そいつの誕生日に前から「ほしいー」とか言ってたミッキーマウスの目覚し時計をやった。
そしたら「キャー、うれしいー」とか言って大はしゃぎ。
いつもはかわいげがないのに、そん時はかわいいじゃない、と思った。
 
そうすると、階下からイノシシのように「ダダダッ」と猛スピードで駆け上がって来て、ドアが「バンッ」と開く。
父親だった。
目が血走っていた。
肩が怒りに震えていた。
 
娘「おとうさんなにー?これもらったー。」
 
一瞬で塩をかけられたなめくじのように
父「・・・・・そうか・・・」
 
下りていく父。
目覚し時計を触る娘。
 
もしもしお父さん? そこのかわいくない娘のおとうさん?
僕がこの娘になんかしようとしたと思ったのですね?
娘を買いかぶりです。
親の欲目にもほどがあります。
僕にもプライドはあります。
ただ、なぜこんな遠くの家庭教師を引き受けたかは聞かないで!
 
ほどなくして行った時、そこのお母さんが「ギョッ」としてお父さんを呼ぶ。
父「すみません、もうおたく断ってるんですが・・・。連絡はなかったですか。」
 
塩をかけられたなめくじのように
自分「・・・そうですか・・・。」
 
家庭教師紹介会社に言ってもすみませんでしただけ。
 
こうして家庭教師遠征時代は終わった。

いまならなんでも文句言えるのになあ。
というより最初に会ったとき断ってるよ。
いや、というより最初から引き受けないって。
 
 
今日の一曲:サザンオールスターズ 「みんなのうた