思い出したこと10

昨日、「誰も知らない」を観たけどつらかったなあ。
子供は大人のように見えたとしても芯は子供であったり。
永遠に続きそうな生きるだけの日常、そしてその日常が終わろうとしている予感のエンディング。
 
その中で万引きの場面があったので、それに関連して思い出したことを。
 
小学校2年ぐらいっだっただろうか。
家(街中のビルにあった)の前の通りの地下にゲームセンターがあった。
 
そこにはピンボールからラリーXのようなレースのゲーム、のんきな音楽と一緒に道が向こうからやってくるドライブゲーム
爆撃機を機関銃で撃ち落とす実写のゲーム(今もって不思議だ)、ルーレットのようなコインゲーム(2とか4とか16とかにかける)、10円玉を入れて左右にはじきゴールすればポンカン飴、とか単純だけど楽しい飽きないゲームが並んでた。
 
ゲームセンターに入り浸っていた。 
自分の小遣いは一日30円。
当然ゲームセンターに入り浸る身分ではない。
 
いつしか原資はおふくろの財布から500円、1000円となっていた。
罪悪感はあまりなかった。
ゲームは楽しいからね。
 
ある時、いつものように箪笥の引き出しから財布を取ってたら、急におふくろが出てきた。
あせった自分はとっさに財布を懐に隠し「小林」のピッチングフォームのまねをした(わかるか?)。
おふくろは迷わず「小林」の懐から財布を取り上げ、びんたの嵐を浴びせた。
おふくろは泣きながらびんたをやめなかった。
 
これ以前の自分はノートを忘れた時、友達のを平気でとって自分のものにしたり、人がつけているかっこいいバッジをこっそりとったり、スーパーカーけしごむをとったり、とんでもない子供だった。
クラスでは優等生の面していたりして本当にいやなやつだ。
しかも罪悪感はなかったんだ。
 
このことがあって以降、ぴったりと人のものに手をつけることはなくなった。
万引きが多くなる中学生の時も迷ったりすることはなかった。
 
なかなか意志の弱い自分がずっと守り続けられたのは(当たり前だけど)、おふくろのあまりの本気ぶりに「絶対やってはいけないこと」というのが刷り込まれたせいだと思う。
おふくろはあの時財布から金が抜かれているのをずっと知っていたのだろうか。
真っ当な道に戻してくれたおふくろにとても感謝している。 

本気と嘘気を子供はよく見てるもんだな。
 
今日の一曲:井上陽水 「闇夜の国から」